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耳を育てる

maikolucky

更新日:2021年9月2日

音を聴くこととは耳を育てることです。

ピアノを弾く上で、音を聴くことは弾くことと同じだけ大切です。弾くことと聴くことは車の両輪のようでして、自分の音を聴いたことでそこからどうしたら良いかを考えることができ、弾き方を調節したりして、それが良い演奏につながっていきます。


室内楽や伴奏をする時は、本当によく相手の音を聴きます。身体中の全神経を集中して相手の音を聴くのです。それによって相手の音楽的フレーズ、息づかい、バランスなどをキャッチし、弾きながら自分をどんどん一番良いところに合わせていきます。室内楽や伴奏は聴く方が75%、弾く方が25%かもしれません。いつも全身耳だと思っています。


ソロで弾く場合も実は同じようなことだと思います。全神経を集中してその空間に広がる音を聴いてこそ、自分の思った通りの音質なのか、音量はどうなのか、やりたい表現がどれくらい実際の音になったのかが自分にわかります。そしてそれを元に、今から出す音をどのように弾いたら良いのかを決めていくのです。

ところが、時々「弾くのに必死」で弾く方が95%、“聞こえている”が5%みたいな状態を見ることがあります。ピアノには難しい曲も多いので弾くのに必死になる気持ちはわかりますが、「弾くのが大変なんだから仕方ないよね」ということではありません。もし自分が弾いたものが実際どんなふうに聞こえるのかよくわからない場合は、まず録音して聞いてみるといいと思います。とにかく大事なことは、自分で自分の演奏が今どんな感じになっているのかをわかろうとすることです。弾いた時に聞こえた感覚を忘れないうちにすぐ録音を聞いてみると「あれ??ここはこんな風に聞こえているの!?」とびっくりすることもあるかもしれません。


練習とは手をトレーニングするだけでは足りていません。もちろん、譜読みをして難しいパッセージなどの音を弾けるようになることは必要です。でも、耳をトレーニングすることも同じく大事です。もし練習にいつもいつも付き合ってくれる誰かがいて、自分の代わりに「耳」をやってくれて「そこが速くなるよ」「左手が大きすぎるよ」と親切な助言をし続けてくれたら、、、その誰かの耳を頼って自分の耳で聴き分けようとしなくなってしまいます。それではなかなか耳は育ちません。耳を育てることは時間がかかります。手をトレーニングしていろいろな音を表現するテクニックを得るのと同じように、もしくはそれ以上に時間がかかります。耳と手と両方が育ってこそ本当の意味でピアノが上達していくのだと思います。




 
 
 

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