先日おさらい会を行いました。少し広いお部屋にスタインウェイを借りてみんなで弾きあい会です。このスタインウェイは大きいピアノで、よく響きました。お部屋も広いので普段とは全く響きが異なります。弾きあいをした後少しづつレッスンをしました。まずは大きな音を出す練習をしてもらいました。体重のかかった音、しっかりした打鍵です。身体に無理のない、筋肉のこわばらない、良い音のフォルテです。私は個人的にフォルテの弾き方を身体と耳で体感して覚えた後で弱音の弾き方を習得した方がいいと考えています。そうでないと音質の浮いた内身のないような弱音を弾いてしまうからです。もちろん曲を弾いていたらフォルテもピアノ(弱音)も出てくるのでフォルテを先に習得と簡単に言ってしまえないのですが、曲とは別に音階のカデンツを使ったりして身体の使い方、弾き方を覚えてそれを曲の中でも取り入れていけるように・・・と思っています。弱音はフォルテの弾き方をそのままミニチュアサイズにするように考えて、まずは地に足のついた弱音が出るようになってほしいと思います。(これがなかなか難しいのです)
また、広いお部屋で弾いてみることのメリットは耳を育てることでもあります。お家の練習室や私のレッスン室で自分の音を聞くときは残響があまりないので自分の周りの半径1メートルくらいのところで音を聞いているかもしれませんが、大きいピアノと大きい部屋では音はもっと遠くまで行きますし残響もあります。ですから「いつも通りに」聞くのではなくて空間の遠くまで自分の意識を向けることが大事です。少し変な例えですが、家の中でフラフープをしようとしたら、いつもの自分一人のサイズだったら難なく歩いている廊下でもフラフープを回すことを考えたら壁にぶつかるとします。この廊下では回せないなと思うとすれば、それは自分+フラフープに必要な空間サイズを視覚的な感覚で掴めているからです。それをそのまま聴覚的な感覚にして空間の広さを意識して音を聞いてほしいです。今回のおさらい会では、ピアノを弾いたときの正面の壁がすでに遠かったので、そこを見てそこに向かって音を出すことをしてもらいました。
きれいな音を出すこと、健康的に身体を使い、健康的にピアノを響かせること、そしてそれを聴き取れる耳を育てること、こういうことは楽譜から音楽を読み取ることや、どうやって表現するか、ということと同等に大切なことだと思います。

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