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オーケストラ オーディション

maikolucky

更新日:2023年3月17日

この一年の間、何度か九州交響楽団のオーディションの伴奏に行く機会がありました。弦楽器も管楽器も伴奏しました。ピアノという楽器には、オーケストラのオーディションそのものがないので、こういう伴奏の機会でもないとどのようにオーケストラのオーディションが行われているか、なかなか知ることはできません。


まず、オーケストラのオーディションは早い話が就職試験なので、そのサポートをする伴奏は大変緊張します。他人様の就職がかかっているのですから!いつもに増して全身を耳にして、ピアノが邪魔をしないように、そして相手奏者が弾きやすいようにサポートを心がけます。


オーディションの課題曲の協奏曲やオーケストラスタディ略してオケスタ(英語ではOrchestral Excerptsといい、普段は短く”Excerpts”と呼びます)をまず第一次試験で演奏し、それに通過すれば第二次試験で弾きます。ピアノ伴奏が必要なのは協奏曲で、ピアノはオーケストラの部分を弾きます。ピアノに書き換えられた”ピアノリダクション”という楽譜を見ながら弾いていきます。聞いているのは楽団員で、オーケストラに入ってプロとして活躍していくだけの高いレベルの実力があるかどうかを見極めていきます。


私はアメリカでもプロオケのオーディションで伴奏したことがあるのですが(日本でのオーディション伴奏よりもアメリカでの方が先でした)アメリカではまずオーディションが行われる部屋の入り口から演奏する場所(ピアノのあたり)までずっとカーテンがあり審査員の楽団員から演奏者が見えないようにしてありました。またカーテンの横にはカーペットがひいてあり、奏者の靴音も聞こえないようにしてありました。これらのことは演奏者が誰なのかを確実にわからなくするためで(公平性の観点から)、男女のどちらなのかもわからないようにと考えられています。靴音はヒールの音なら多分女性だなどと推察されてしまうからです。オーケストラによって最終審査までずっとカーテンの向こうで演奏するところや、一番最後の審査だけカーテンがなくなって奏者が見えるなど違いはあったようでした。私の話は15年くらい前の話なので今はどうなっているかはわかりません。


アメリカでも日本でも言えることは、オーディションでは奏者の実力が全てです。学歴もコンクール歴も関係ありません。プロとして十分な実力があるかどうか、をプロの音楽家たちから聞かれるのです。ソリストになっていく人たちとはまた全然別のシビアな世界です。





 
 
 

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