今日は緊張について私の経験をシェアしたいと思います。私は、若い頃はピアノの本番があるとすごく緊張するタイプでした。緊張しすぎていたと思います。コンクールの舞台袖で、緊張で手の甲の毛細血管が浮き出てきて(酸欠?)全体的に紫色になった自分の手を見てさらに緊張が増すという悪循環ぶりでした。膝が笑ってしまってペダルがちゃんと踏めるのか心配したこと数知れずです。心臓がばくばく大きな音を立てているようで、周りの人にも聞こえるんじゃないかと思いました。緊張がMAXになると軽い吐き気も感じました。こんな様子でよくピアノを弾いたなぁと思います。
緊張には良い緊張と悪い緊張があると思います。良い緊張は「適度な」緊張で、集中力が高まり、普段よりも良いパフォーマンスになったりします。
一方、悪い緊張をすると普段練習している時とは別人のようになり、気持ちが焦って落ち着いて音が聞けなかったり、指のコントロールが思い通りにいかなかったりします。そんな調子だとアクシデントが起こりやすいです。
また緊張すると普段より呼吸が浅くなりがちだと思います。それで、私は舞台裏で深呼吸を繰り返すことにしていました。ゆっくり4秒かけて鼻から吸う、4秒かけて口から吐く。心臓は相変わらずものすごい勢いで打っているのですが、それと呼吸は別物です。息を止めずに、ゆっくり吸う→吐くを繰り返していると、なんとなく心も落ち着いてくるような気がしていました。自分でそう思い込むことで気持ちを落ち着けていたのかもしれないですけれどね。でも少なくとも、酸欠にはならなくて済みそうだと思いました。
次に、体も緊張して固まってしまうことがあります。今からピアノを弾くのに体が固まってしまっては不都合きわまりないですね。体の緊張は意識的に筋肉をゆるめることが役に立つような気がします。それでは順番に行きますね。まず首の筋肉をゆるめる。ゆるめられると口が少し開くと思います。次は肩を落とします。肩がこれ以上は下がらないというところでふっと力を抜くと体が楽なのを感じられます。それから腕。上腕に力がこもったままになっていないか、上腕を意識的にゆるめます。寝ている時を思い出すといいです。そして手のひらがゆるんでいることを確認します。最後に、左右の胸の間をゆるめるつもりではぁと息を吐いてみます。こうして体をゆるめたら、少し心地良くなると思うので、その心地よさの感覚をなるべく覚えておきます。
また、ストレッチもいいかもしれません。私は本番前には無意識のうちに背伸びをしたり、体をひねったりして何らかの体操をしていることがありました。本能的に筋肉が固くならないようにしていたのかもしれません。
もしあなたが「今から弾く音楽のことを考えただけで楽しくなるから緊張なんて気が付かない」っていう方なら本当にぜひそのままでいてください!あなたはたくさんのピアノを学ぶ人たちの羨望の的です!
あなたがもし緊張して体が固まって上手くいかない、何か対処する方法を探しているという方ならば、上に書いた呼吸と体をゆるめることを一度試してみてくださいね。
ついでに、もしあなたがいつも緊張しやすいタイプで、緊張しなくなる方法を探しているとしたら、これはかなりの難題です。
全然緊張しないタイプの人が何かのきっかけで緊張するようになることはあります。
逆に、いつも緊張する人がまったく緊張しなくなることは、残念ながらほぼないと私は思っています。
それを分かった上で強いて言うなら、緊張にいくぶん慣れて自分をコントロールできるようになることは可能と思います。ただそれも、かなりの数の「緊張を伴う人前での演奏」を頻繁にこなせば、です。緊張という現象に麻痺するんです。多すぎて。緊張が日常みたいになったらそこまで特別な感じにならなくなるし、そうなれば手や体のコントロールが効きます。
でもそこまで弾く回数を多く持つことは、なかなか難しいのが現実です…

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